『犬ブルセラ症』2008年11月01日 08時11分01秒

 今般、日本国内において、動物取扱業者がブルセラ症と診断され、当該施設の犬からの感染が疑われる事例がみられたとの通知がありました(厚生労働省健康局)。ブルセラ症についての概要は下記の通りです。

1 ブルセラ症とは
  * ブルセラ属菌による人獣共通感染症です
* 感染症法では、4 類感染症(人の感染の場合)に指定されています
* 家畜(ウシ、ブタ、ヤギ等)では、家畜伝染病予防法の家畜伝染病です

2 イヌブルセラ症について
 ブルセラ・カニス菌によって感染する犬の慢性感染病です。
 <人の場合>
 犬の流産胎仔や体液等との接触により感染するといわれています。通常の生活で感染することはまれですが、感染する危険性が高いのは犬の出産や治療に従事する動物繁殖業者・獣医師などです。人から人へ感染することはないといわれています。
 <犬の場合>
 交尾や流産胎仔・体液・尿等との接触により感染します。

(1)症状
 <人の場合>
発熱などの風邪様症状を示しますが、ブルセラ・カニス菌は、ブルセラ属菌のなかでは病原性は最も弱く、重篤な例はまれです。
 <犬の場合>
著しい症状はほとんどありませんが、オスでは精巣炎、メスでは流産や胎盤炎などを示します。

(2)潜伏期と治療
<人の場合・犬の場合>
 潜伏期間は通常1〜3 週間で、感染した場合には抗生物質での治療が必要です。抗生物質は長期投与が有効ですが、治療が不十分な場合は再発することが多いといわれています。

(3)予防方法
  * 犬と接触した後は、石鹸などで手を洗いましょう。
* 犬が流産した場合には、流産胎仔や体液等には、手袋をするなど直接手で触らないようにしましょう。また、それらが付着した場所は 消毒用エタノール、次亜塩素酸ナトリウムなどで消毒しましょう。
* 犬の尿などの汚物には、直接手で触らないようにしましょう。
* 集団飼育施設で犬を導入する場合には、一時隔離するとともに、導入元からの聴取り等によって健康状態を確認しましょう。